いまや「日本人の2人に1人はがんになる」といわれる時代です。がんになっても、自分らしくよりよく生きたいと望むのではないでしょうか。何をもって『よりよく生きている』とするのかは、本人以外にはわかりません。そのことを踏まえがん看護は、がんに伴う身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな問題に対して、真摯に向き合い支援を行ってきました。薬物療法、放射線療法、手術、免疫療法、ゲノム治療など治療の充実、がん疾患が死に直結する病から共生する病への変化、療養の場が病院から在宅へ広がり、様々な価値観を持つ世代とライフステージに応じた支援の必要性など、対応すべき課題は多様化しています。地域包括ケアシステムの中で、病院やそれぞれの機能に応じた役割発揮が必要となっています。多職種が協働するチーム医療が求められ、特定機能病院などの高機能病院では、病態が複雑化したがん患者の治療に伴う深化したケアが求められ、多様性への対応と専門性の高いがん患者への対応は急務となっています。
また、私たち看護職も成長や、やりがいを実感し「よりよく生きたい」と思うこともあるでしょう。現在、働き方改革が求められ、医療や看護の現場も例外ではありません。多様なライフイベントに対応した働き続けられる職場への変革が求められています。さらに、専門看護師、認定看護師、看護管理者、研究者など資格や活躍の場の多様化は、看護職として選択肢が増え、自分自身のキャリアについて考え決めることが重要となります。これら働き方・働く場の変化・キャリアの多様化においては、がん看護を担う多様な人材を育成し活用するためのマネジメントが重要となります。がん看護を担う看護職としてよりよく生きるために、個人として、組織の一員として考え、行動することが必要となります。
そこで、今回の学術集会では、変化の時代に「よりよく生きる」を求め、看護職として支援し続けるために、がん看護の多様性と進化を問い、皆様と考え、ダイバーシティへの取り組みを東京から発信したいと考えます。
オリンピックイヤーとなる2020年、日本中が熱狂に包まれることはおそらく間違いありません。この貴重な時期に東京で学会を開催する意義を十分に踏まえ、有意義な会になりますよう、誠心誠意準備致します。多くの皆様にご参加して頂くことを心よりお待ちしております。
第34回日本がん看護学会学術集会
学術集会長 荒川 千春
昭和大学病院・附属東病院 看護部長